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名演2022年7月例会 劇団民藝公演

新・正午浅草-荷風小伝

作・演出/吉永仁郎 演出補/中島裕一郎 

上演にあたりましては、新型コロナウイルス 感染防止対策をとり細心の注意を払います。

新・正午浅草チラシ表 新・正午浅草チラシ裏

7月14日(木)18時30分
  15日(金)13時30分 
日本特殊陶業市民会館ビレッジホール(名古屋市民会館中ホール)
地図

上演時間2時間30分予定
(途中休憩15分を含む)

    あらすじ・みどころ 
    キャスト・スタッフ
    関連サイトリンク
    会費 月額一般 2800円 29歳以下 2000円  
       高校生以下 1300円
    入会金  一般  3100円 29歳以下 2300円    
    高校生以下 1600円
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     7月例会は昭和の文豪・永井荷風の晩年を主にした物語です。荷風は今年で没後63年になります。荷風の作品は漱石や太宰治のように多くのファンを持っているわけではありません。しかし没後も多くの荷風論が出版されていることは特筆に値します。また回顧展が何度も開催されています。これらの事実は荷風という人物の魅力と文学史に残した業績の大きさを物語っています。それではお芝居の紹介の前に少し荷風についてお話ししましょう。

     荷風は明治12年(1879年)東京の生まれ。裕福な家庭に育ちます。しかし10代の頃から勉学そっちのけで絵や芸能(尺八、落語、歌舞伎)などに夢中になり、父親の期待を裏切ることに。業を煮やした父親は荷風にアメリカ行きを命じ、荷風は逆らえずに24歳の時アメリカに渡ります。アメリカではハイスクールや大学で学んだ後、当時の大銀行・横浜正金銀行ニューヨーク支店に勤めることに。しかし仕事に身が入らず恋愛やオペラ鑑賞に明け暮れる始末(どんな演目を鑑賞したのか記録が残っています)。1年半ほど勤務したのち、フランスのリヨン支店に転勤。この支店勤務も8ヶ月ぐらいで終わります。銀行を辞めてパリに移り3ヶ月近く居住し、ここでもオペラ鑑賞に精を出します。帰国した時は29歳になっていました。この海外生活から生まれた作品が『あめりか物語』であり、『ふらんす物語』というわけです。
     帰国後は旺盛な作家活動に入ります。30代で2回結婚しますが、長続きせず破綻。以後79歳で世を去るまで独身生活を続けます。しかし女性なしでは生きていけない荷風ですから多くの浮名を流しました。これらの経験はいろんな小説に結実しているようです。当然戦争体験もしています。空襲で自宅を失って、岡山へ避難した折には谷崎潤一郎が温かいもてなしをしています。荷風を尊敬していた谷崎にしてみれば当然のことだったのでしょう。戦後は市川市に住みます。そして浅草通いが始まるというわけです。

     芝居のタイトルにある「正午浅草」とあるのは、日記(断腸亭日乗)に毎日のように正午浅草と記していたからです。作者の吉永さんお気に入りのネーミングです。浅草では踊り子との交流も始まります。ストリップ劇場の楽屋に入り浸っていたというのですから驚きです。荷風は愛されていたのです。昭和27年には文化勲章を受章しています。反骨の人、荷風が国家から勲章を受け取るのは如何なものかという思いを持った人たちもいたかもしれませんね。なにしろ戦争中、戦争讃歌の合唱に加わらなかった人物ですから。生涯森鴎外を尊敬していた荷風は、鴎外の命日に死にたいと公言していましたが、それは叶わず昭和34年(1959年)4月30日に一人寂しく世を去ります。享年79歳でした。
     荷風は明治、大正、昭和の三代をあくまでも自分流に生き切ったと言っていいでしょう。

    ※代表作品

     小説『墨東綺譚(墨にさんずい)
     随筆『日和下駄』・・・朝日歌壇に次のような入選作があります。「しみじみと荷風の日本語懐かしく『日和下駄』読む蝉鳴く夕べ」小池美樹彦
     日記『断腸亭日乗』(大正6年〜昭和34年)

     あらすじ

     昭和三十二年秋の昼下がり、市川市八幡。独りで暮らす七十七歳の荷風が、書斎にもち込んだ七輪に木片をくべて、野菜入りの自称釜飯をつくっている。
     そこへかつての愛妾お歌が久しぶりに訪ねてくる。 お歌はそのわびしさに驚くが、荷風は二千万円の預金通帳を入れたカバンを置き忘れたことも面白おかしく語ってみせる。
     思い出話はやがて四十年書きついだ日記へと移り、名作『墨東綺譚(墨にさんずい)』の娼婦お雪との日々がよみがえる……。

    「新・正午浅草―荷風小伝」に出てくる女性たち

     荷風を巡る女性たちは数多い。荷風は異常な程女性が好きだった。市川市文学ミュージアムで開催された「永井荷風展」の折、発行された図録には「荷風の見つめた女性たち・・・年譜」というコーナーがあり、荷風と関わりのあった女性たちを一覧することができる。
     他に荷風の日記・『断腸亭日乗』の中にも付き合った女性の名前が列挙された箇所がある。1936年(昭和11年)1月30日付けの日記がそれである。
    「…つれづれなるあまり余が帰朝以来馴染みを重ねたる女を左に列挙すべし。」という本文の後に16名の氏名と各女性の注釈が書かれている。他に臨時のものを3名挙げている。
    明治41年フランスから帰国後、昭和10年秋までに付き合った女性たちである。

    舞台に登場するお歌さん(関根うた)の名前も勿論記述されている。ここでは『新・正午浅草』に登場する女性に絞って紹介したい。

    1, お歌(関根うた)…元麹町の芸妓
     先ず歴史探偵こと半藤一利氏の文章を紹介したい。
    「二度目の妻君、芸妓上がりの八重次を別にすれば、荷風が至極大事に思った一等の女性である。お妾さん気質満点の荷風好みの女性である。昭和2年から6年までほんとうに芯から献身的につとめ、荷風に無限の安慰と哀愁とを与えた得難い女であった」。
     荷風自身はどう思っていたのか。昭和3年2月5日の「日乗」に次の記述がある。「薄暮お歌夕餉の総菜を携え来ること毎夜の如し。この女芸者せしものには似ず正直にて深切なり。(中略)かくの如き可憐なる女に行会ひしは誠に老後の幸福といふべし・・・後略」 昭和2年と言えば荷風48歳、歌21歳であった。二人は約4年間生活を共にしたのだった。半藤氏と並んで荷風の大ファンである川本三郎氏の文章に、別れた後のことに触れた箇所がある。「歌は、別れたあとも荷風の独居生活を心配し、偏奇館に夜具を届けているし、戦後も、市川に訪ねている。荷風は歌を喜んで迎えている。歌は、荷風死後、心のこもった追悼文も書いている」
     『断腸亭日乗』の中で最も記述の多い女性はお歌だった。にもかかわらず荷風の晩年に、頼りにしてやって来たお歌の気持ちを察しながら荷風はどう対応したか。荷風さん、それはあんまりじゃありませんかと、荷風ファンの私も突っ込みをいれたくなるのである。どうかお歌さんと荷風のやり取りのシーンをとくとご覧を。荷風の考えを知る上で大事な場面。お歌役の白石珠江さんがここを、どう表現していくのか大いなる楽しみである。

    2,お雪
      お雪は名作『墨東綺譚(墨にさんずい)』に描かれている娼婦である。「この小説は小説家大江匡(ただす)と玉の井(東京下町の私娼窟)の娼婦お雪の出会いと別れを美しく描いた小説である。夏から秋へと移ろう季節と舞台となる玉の井の細かな描写により、作品の世界が浮かび上がってくる。お雪は大江に安らぎを与えてくれる夢の女「ミューズ」であった。
     お雪は快活で、現在の境遇をも深くは悲しんではいない。男に対する感情も荒みきってはおらず、自分の身の振り方を考える元気も才智もある](永井荷風展の図録より引用)
     この芝居ではお雪は第1幕に登場する。小説家(ここでは荷風)と他愛ない話をしながら陽気に振る舞うお雪。荷風に「お前の体には色里の毒ってものが染みついていないもの。
    こういうところにいながら。肌も荒れていなくてきれいだし、いつもカラッと陽気で、それでいて細かいところへ気を配ってくれて。玉の井でお前みたいな女に出遭えるとは思わなかったぜ」というセリフを吐かせている。そして純情なお雪は「もう少しで借金を返せるの。そしたらあなた、あたしをおかみさんにしてくれない?」と月を見上げて囁くのである。 そしてこの舞台では、ここでお雪はお役目ご免となる。
     このお雪を演じるのが飯野遠さん。体は汚れていても心はまっさらなお雪をどう演じるか楽しみだ。

    3, 福田トヨ
     晩年の荷風宅の掃除などを頼まれていた近所の年配の女性。第1幕と第2幕に少し出番がある。終幕に近いところで、トヨに対して荷風が気になるセリフを吐く場面がある。
    「…あんたには何かと世話になって」
     そして最後に「そうだ、この部屋だがね。これからは朝来た時、ちょっと覗いてくれませんか」
    脚本担当の吉永仁郎氏の豊かな想像力が窺えるシーンである。この後、荷風は突然亡くなるのであるが、その第1発見者がトヨだったのである。残念ながらトヨさんが発見するシーンはこの芝居では省かれている。
     さてトヨを演じる田畑ゆりさんは、主役を演じる水谷貞雄氏のパートナーである。水谷さんはこのお芝居のパンフレットのインタビュー記事で「我が家でもきっとそうなる予定ですから」と冗談を言っている。なかなかのユーモアだ。

    作家 吉永仁郎さん 名演での上演作品

     
    1983年3月例会『夢二・大正さすらい人』(劇団民藝) 演出:渡辺浩子 出演:奈良岡朋子、米倉斉加年、梅野泰靖、水原英子、ほか
    1989年2月例会『煮えきらない幽霊たち』(文学座) 演出:加藤武 出演:高橋悦史、角野卓造、高原駿雄、荒木道子、ほか 
    1993年1月例会『季節はずれの長屋の花見』(劇団俳優座) 演出:阿部廣次 出演:中野誠也、杉山とく子、中村たつ、荘司肇、ほか
    1994年6月例会『滝沢家の内乱』(蝉の会) 演出:渡辺浩子 出演:大滝秀治、三田和代
    1998年8月例会『夏の盛りの蝉のように』(蝉の会) 演出:渡辺浩子 出演:大滝秀治、井川比佐志、高橋長英、范文雀、ほか
    2006年11月例会『きょうの雨、あしたの風』(劇団俳優座) 原作:藤沢周平 演出:安川修一 出演:可知靖之、阿部百合子、川口敦子、荘司肇、ほか
    2009年11月例会『静かな落日』(劇団民藝) 演出:高橋清祐 出演:伊藤孝雄、樫山文枝、安田正利、水谷貞雄、ほか
    2011年5月例会『リビエールの夏の祭り』(劇団俳優座)演出:中野誠也 出演:川口敦子、中野誠也、遠藤剛、中寛三、ほか
    2016年5月例会『集金旅行』(劇団民藝) 原作:井伏鱒二 演出:高橋清祐 出演:樫山文枝、西川明、小杉勇二、箕浦康子、ほか
    2018年5月例会『大正の肖像画』(劇団民藝)演出:高橋清祐 出演:みやざこ夏穂、塩屋洋子、白石珠江、伊藤孝雄、ほか

    出演 

    永井荷風(本名は壮吉) 水谷 貞雄
    若い男(カメラマン) みやざこ夏穂
    福田トヨ(近所の女)
    お歌(荷風の昔の妾) 白石 珠江
    お雪(玉の井の娼婦) 飯野  遠
    永井久一郎(荷風の父) 佐々木梅治
    老人(荷風の友人) 松田 史朗
    喫茶店の女給<ダブルキャスト>14日 高木 理加
    15日
    長木  彩
    中年の新聞記者 佐々木 研
    若い新聞記者 保坂 剛大
    壮士風の男 橋本  潤
    浅草の踊子4人(声だけ) 吉田 陽子
    笹本 志穂
    金井 由妃
    増倉 佑美
               

    スタッフ

    作・演出 吉永 仁郎
    演出補 中島裕一郎
    装 置 堀尾 幸男
    照 明 前田 照夫
    衣 裳 宮本 宣子
    効 果 岩田 直行
    舞台監督 うちだ潤一郎


    関連サイト

    管理人の責任でリンクしています、不都合がありましたらご連絡いただければ幸いです。

    劇団民藝ウェブサイト http://www.gekidanmingei.co.jp/
    『新・正午浅草』解説 劇団民藝ウェブサイト内 
    https://www.gekidanmingei.co.jp/performance/2022tour_shin-shougoasakusa/

    劇団民藝Twitter  https://twitter.com/Gekidan_Mingei
    劇団民藝Facebook https://www.facebook.com/gekidanmingei/

    永井荷風のおすすめ作品4選 https://pdmagazine.jp/people/nagai-kahu/
    永井荷風 市川の文化人 https://www.city.ichikawa.lg.jp/cul01/1551000004.html

    永井荷風追慕碑(ながいかふうついぼひ) 名古屋市緑区西来寺
    https://www.city.nagoya.jp/minami/page/0000001436.html
    https://enjoymidori.exblog.jp/240287693/

    定年時代 晩年の荷風の心中に迫る  劇団民藝・水谷貞雄さん
    http://www.teinenjidai.com/tokyo/h31/04_1/index.html

    飯野遠さんTwitter https://twitter.com/oniinomingei
    長木 彩さんTwitter https://twitter.com/DateMondsichel
    橋本 潤さんTwitter https://twitter.com/junhashimoto10


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    最終更新日 2022/04/18