名演2022年5月例会 文学座公演
作/佃典彦 演出/松本祐子
上演にあたりましては、新型コロナウイルス 感染防止対策をとり細心の注意を払います。
5月25日(水)18時30分
26日(木)13時30分
日本特殊陶業市民会館ビレッジホール(名古屋市民会館中ホール)
地図
上演時間2時間30分予定
(途中休憩15分を含む)
・あらすじ・みどころ
・キャスト・スタッフ
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会費 月額一般 3100円 29歳以下 2000円
高校生以下 1300円
入会金 一般 3100円 29歳以下 2300円
高校生以下 1600円
新入会の方は、会費と入会金が必要です。それ以外の入場料は必要ありません。 くわしい名演の入会方法はこちら日程申込フォームはこちら(会員専用) 名演入会申込・お問い合わせはこちら
愛知県は尾張北東部、尾張瀬戸駅から南へ歩いて5分。瀬戸川を渡り、坂を上がると丘の上に学校があります。明治28年開校の「瀬戸窯業高校」(2021年度より「瀬戸工科高校」に改名)。昔の名前は「瀬戸陶器学校」でした。
「昭和」の時代、その校舎から遠く御嶽山が見え、瀬戸の町を一望すると眼下には白濁した川沿いに映画館、東に煤けた瀬戸電の駅舎、窯神橋。沢山の人馬が行きかう前に陶器店が立ち並び、老舗の和菓子屋、うどん屋もあります。また、陶祖を祀る社がある深川神社の南には、パチンコ屋の軍艦マーチも勇ましく末広町商店街が賑わっていました。
だが、今の瀬戸に往時の繁栄はなく、時が止まったような静寂に包まれています。「焼き物」の代名詞「せともの」を生んだ1000年余の歴史を有する土と炎の町なのに。
5月例会『一銭陶貨』は、この「瀬戸」が舞台です。1944年、敗色濃い戦争末期、政府は不足する貴金属の代用として「陶器の貨幣」つくりに追い込まれます。白羽の矢が瀬戸に立ちました。
「陶器は割れ物」。割れない「陶貨」は出来るのか。複雑な極印を持ち、同じ形・色・重さの小さな焼き物。しかも大量生産。さしもの瀬戸の窯ぐれたちもたじろぐ逡巡。しかし、彼らは国家の要求を受け入れます。「陶都・瀬戸」のプライドを胸に格闘を始める窯元の一族と職人たちの物語。脚本はB級遊撃隊の佃典彦。演出は文学座の松本祐子。名古屋で学び育った二人が作家、演出家として円熟の時を迎えました。
佃さんはこの作品を文学座への書き下ろし第一作「ぬけがら」(第50回岸田国士戯曲賞)と異なって「戦時中の瀬戸の職人たちの生き様を真つ正面から描いた」と言います。舞台は瀬戸の陶祖につながる窯元・加藤家の陶房〈作業場〉です。
出征した期待の大きかった優秀な長男とは違い、脚が不自由で時代の厄介者として親元にくすぶる次男は自分の「存在理由」に苦悶します。
そんな折、敗色濃い日本は金属不足から陶器でお金をつくる事態に追い込まれ、その役割を与えられた陶都・瀬戸は加藤家の次男・昭二を中心に「陶貨」作りを開始。陶工たちが力を合わせ奇跡的にも「陶器で出来た割れないお金」を作り上げた」と言うお話です。
プロットはシンプルですが内実はシリアスで、一本の幹に蔦が絡まり縺れるように「親子、兄弟、男女の愛」が交錯します。近隣の名古屋が空襲にやられ、陶貨作りの期限が目前に迫るなか、窯ぐれ達は次男を先頭にヒントを求め必死の知恵を絞っています。そのさなか、長男・加藤和雄が左目と口半分以外は包帯に覆われ、右腕も無く身体もねじ曲がって左手に持った杖で右半身を支えている「傷痍軍人」として帰還します。
その時ドラマが動くのでした。見事「陶貨」が出来上がる一方で、人間にある「業」・「プライドと欲」の海から、愛しくもあり愚かしい「愛」が破壊的な様相を帯びながら姿を現すのです。あらすじ
昭和19年、愛知県瀬戸。加藤家は代々、陶芸家の家系で瀬戸の町では一目置かれた存在である。
養子婿の当主加藤嘉男は一流陶芸家であるが、現在はほぼ引退して隠居の身である。長男の和雄は陶芸の才能豊かで学校でも優等生、いわゆる田舎のエリート。母キヨの愛情も一身に受けて来たが、赤紙が届き戦地へ。一方、次男昭二は幼い時の事故がもとで足が不自由であり、陶芸の才能にも乏しかった。徴兵不合格の身でお国のためにもならない役立たずと自分でも思い込んでいる。
そんな時、陶器会社の井上がある報せを持って来た。金属不足を補うために大蔵省は金属貨幣に替えて陶器貨幣を発行することを決定、京都 ・有田 ・瀬戸が製造地として選定されたというのだ。井上は瀬戸窯業の起死回生となる一大事業になると考えるが、キヨは「国が何をした! 奪うだけじゃないか!」と猛反対。嘉男はそもそも技術的に無理だと主張。しかし、その話を聞いていた昭二は違った。「これを成功させたら兄貴を見返すことが出来る」昭二は今までの鬱積の全てを陶貨作りにぶつけようと決心するが…。作家 佃典彦さん
1964 年名古屋市生まれ。劇作家、演出家、俳優。
劇団B級遊撃隊主宰。長久手市市民劇団「座☆NAGAKUTE」講師。 名城大学入学と共に演劇部の劇団「獅子」に役者として入る、卒業前に内定していた就職をやめ、1985 年劇団B級遊撃隊を結成。両親からは猛反対を受け、演劇を続ける条件として「3 年後までに観客 1000 人動員と東京公演実現」を提示されたが見事公約を達成し、1989 年東京進出。
1987 年の第3回名古屋市文化振興賞を受賞した『審判~ホロ苦きはキャラメルの味~』をはじめとし、劇作家協会優秀新人戯曲賞、読売演劇大賞優秀作品賞、松原英治・若尾正也記念演劇賞など多数の受賞歴を持つ。
文学座公演『ぬけがら』で第50回岸田國士戯曲賞を受賞。
俳優としても活躍、劇団B級遊撃隊の作品のほか、最近ではなごや芝居の広場『叔母との旅』。テレビドラマ『半沢直樹』曾根崎雄也役。『おかえりモネ』小山繁樹役『DCU』佐久間雄二役など、に出演。
演出家 松本祐子さん
1967 年大阪府枚方市生まれ、名古屋で育つ。演出家。旭丘高校を経て明治大学文学部 文学科演劇学専攻卒業。
1992 年文学座付属演劇研究所入所、1997 年に文学座座員に昇格。1999 年 11 月から 1 年間、文化庁在外研修員としてロンドンにて研修。 帰国後一作目の『ペンテコスト』で 2002 年第 9 回湯浅芳子賞を受賞。
2006 年に『ぬけがら』(文学座アトリエの会)などの演出に対して、第47回 毎日芸術賞千田是也賞を受賞。2019 年には『ヒトハミナ、ヒトナミノ』『スリー ウインターズ』の演出に対して第54回紀伊國屋演劇賞個人賞、第 27 回読売演 劇大賞最優秀演出家賞、2020 年『五十四の瞳』の演出に対して芸術選奨文部科学大臣賞をを受賞した。
出演
加藤嘉男 中村 彰男 加藤トヨ/沙紀 奥山美代子 加藤和雄/健太郎 加藤昭二 奥田 一平 水沢秋代 平体まひろ 田中次郎 高橋ひろし 田中みつ/愛子 高柳 絢子 井上公人 鵜澤 秀行 スタッフ
作 | 佃 典彦 |
演 出 | 松本 祐子 |
美 術 | 杉山 至 |
照 明 | 賀澤 礼子 |
音 響 | 今西 工 |
衣 裳 | 宮本 宣子 |
舞台監督 | 加瀬 幸恵 |
演出補 | 的早 孝起 |
制 作 | 前田 麻登 |
舞台写真 | 宮川 舞子 |
宣伝美術 | Koichan |
文学座ウェブサイト http://www.bungakuza.com
文学座『一線陶貨』解説ページ http://www.bungakuza.com/issen2022/index.html
劇団B級遊撃隊ウェブサイト https://bkyuyugekitai.wixsite.com/bkyuyugekitai
奥山美代子さん公式サイト http://blog.livedoor.jp/miyocom_-new/
奥田一平さんtwitter https://twitter.com/pei_kuro?
奥山美代子さんtwitter https://twitter.com/miyocom34
平体まひろさんtwitter https://twitter.com/mhr196
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