名演特別例会2009 朗読劇「月光の夏」

「月光の夏・知覧を訪ねて」

「月光の夏」実行委員の一人が舞台に関係する知覧市を訪れたときの手記をご紹介します。

 朗読劇「月光の夏」の舞台となった鹿児島県知覧市に行ってみたくなり、ツアーでしたが春の南九州一人旅を敢行しました。知覧は薩摩半島の南部にあり、いくつもの武家屋敷が今でも残っている薩摩の小京都と言われています。


バスは地元名物の知覧茶畑を過ぎ、知覧特攻平和館に到着しました。沖縄特攻で散華されました隊員1036名の魂を供養する灯篭を通り過ぎ、知覧公園の桜並木を愛でて、館内へ。短い時間では到底読み切れない隊員一人一人の遺書や絶筆に釘付けになりました。

 館内中央では、特攻の語り部の話に悲痛な思いを抱いて聞き入ってしまいました。『月光の夏』に登場するフッペルのピアノが置いてありました。(劇の舞台となる鳥栖のピアノは返還されており、陳列してあるのは同種のものですが、日本には二台しかないそうです。)

 外へ出ると、「とこしえに」の隊員と彼を見つめる「母の像」がありました。そして何よりも隊員が寝泊まりする「三角兵舎」に胸を打たれました。地上には三角の屋根しか見えない半地下壕の建物でした。敵に見つからないように地を這うように作られた息苦しい寝所で、若者たちは何を思い巡らして過ごしていたのでしょうか。

 特攻隊員の霊が安らかならんことを祈念すると同時に、ここの平和会館でも伝えきれていない「特攻の生き残り」の苦しみを語ることを含めて、真の平和を確認しあうことが私たち現在生かされている者の最大の義務であることを再確認しました。
 満開の桜の花びらが散っていく様は、戦禍ではかなく逝ってしまった魂を象徴しているようで、美しくも物悲しい景色でした。

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