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2011年に上演した作品

2011年1月例会 木山事務所『出番を待ちながら』 作/ノエル・カワード 訳/高橋知伽江 演出/末木利文
出演/三田和代、新井純、加藤土代子、長内美那子、大方斐紗子、堀内美希、山本与志恵、本田次布、林次樹、磯貝誠、橋本千佳子、木村万里、千葉綾乃、宮内宏道、木村愛子

1月18日(火)6時30分
   19日(水)6時30分
   20日(木)1時30分

中京大学文化市民会館プルニエホール(名古屋市民会館中ホール)

 引退した女優たちが暮らす「慈善ホーム」が舞台。女優としての華々しい生活が終わり、余生をこのホームで暮らす元女優たち。現役の頃のプライドを持ちながらも、内心はきわめて複雑な気持ちをかかえている。現役時代の地位や愛憎を引きずっているので、人間関係がスムーズにいかない場面もしばしば。そんな日々に、寝たきりや認知症や突然死があったりで、否応なしに現実に向かい合う。いつしか、現役の頃の歌や踊りが飛び出して、精一杯元気に生きていこうという気持ちが溢れる。最後の「出番」へと歩む人たちの泣き笑い怒りが、高齢化社会を生きる私たちを励まし元気づける。

 日本の新劇界に存在感を示すベテラン女優たちが、このホームの住人。この作品の登場人物のように誇り高く演じて、さざめく笑いの中に、人生の最終章の哀感が観客と共振し涙を誘う。長い間、新劇を愛し続けてきた女優たちへのオマージュと、戦後の幾山河を越えてきた人たちへ敬意を込めて、この舞台をお届けします。
2011年3月例会 劇団文化座『てけれっつのぱ』 原作/蜂谷涼 脚本/瀬戸口郁 演出/西川信廣
出演/阿部敦子、佐々木愛、有賀ひろみ、津田二朗、沖永正志、小谷佳加、鳴海宏明、高村尚枝、五十嵐雅子、佐藤哲也、白幡大介、春稀貴裕、池内智士、梅田崇
3月16日(水)6時30分
   17日(木)1時30分・6時30分
中京大学文化市民会館プルニエホール(名古屋市民会館中ホール)

  時は明治14(1881)年、商人や船乗りが往き来し活気溢れる小樽の町なかに、煮売り、代書、髪結い、俥などを商う小さな店「きし屋」があった。そこに肩寄せ合って生きているのは、年齢もバラバラ、と言って家族でもない、いわくありげな三人の女だった。彼女たちはなぜ結びつき、ここ北の果て小樽にたどり着いたのか? そしてやくざから立ち退きを迫られている「きし屋」の運命は?
 明治維新そして文明開化。価値観が大きく転換する時代であった。様々な人生が激動のなか流転する。その運命に流される者もいれば、立ち向かい、抗い、力強く生きようとする者もいる。
 江戸の名残をとどめる文明開化の東京と、開拓まもない北海道は小樽で、愛憎と人情に満ちた悲喜劇が繰り広げられる?

 明治維新から文明開化という激動の時代を背景に、不器用な者たちの人間模様が綴れ織りのように鮮やかに描かれる蜂谷涼氏の『てけれっつのぱ』(柏艪舎刊)を舞台化。哀しみを湛えながらも逞しくしたたかに生きる人間の姿は、やはり価値観が拡散し不透明な時代を生きる現代の私たちの胸に深く迫ってきます。
 今、日本人全体が生きる活力を失ってきているように思われます。こんな時代だからこそ、嫌なことを笑い飛ばし皆が元気になれる、そんな作品を創りたいと思いました。初演の舞台は大好評を博し、平成20年度文化庁芸術祭大賞を受賞。
 切なくも痛快なエンターテインメント時代絵巻に乞御期待!
2011年5月例会 劇団俳優座『リビエールの夏の祭り』(M・デュラス/G・ジャルロ『かくも長き不在』より) 作/吉永仁郎
演出/中野誠也
出演/川口敦子、中野誠也、遠藤剛、中寛三、青山眉子、星野元信、河野正明、塩山誠司、佐藤あかり、谷部央年、蔵本康文、ほか

5月19日(木)6時30分
   20日(金)1時30分・6時30分
中京大学文化市民会館プルニエホール(名古屋市民会館中ホール)

 フランス映画『かくも長き不在(M・デュラス/G・ジャルロ作)』にアイデアを得て吉永仁郎が脚本化し、俳優・中野誠也が初演出した舞台劇です。話を日本に移し替えても、出征し消息不明になった夫を待つ妻の姿は、国を超えて反戦という普遍的なテーマからは逸脱することのない感性豊かな作品になりました。
 昭和30年代を舞台に、戦争で夫を取られ、戦後10数年を経て目の前に現れた夫によく似た記憶喪失の男の姿に、再び夫への想いがよみがえっていく女性の切ない心の旅路を情感豊かに描きます。夫を待ち続ける妻・綾子を演じた川口敦子と、記憶喪失の男を演じた俳優・中野誠也と演出家としての中野誠也の成果を是非中部・北陸演鑑連の皆様に観ていただきたいと考えております。
 昭和30年代、東田綾子は浅草に隣接する鳥越で小さな喫茶店「リビエール」を営んでいた。夫がつけた店の名前はフランス語で「川」という意味で、近くには隅田川が流れていた。綾子は戦前、夫の達也と松本から移り住み、二人の夢だったミルクホールを鳥越で始めたが、昭和18年に達也は招集され中国に出征して消息不明となる。やがて終戦を迎え、焼かれずにすんだ鳥越の同じ場所で一人「リビエール」を再開し、14年が経った。夫・達也の帰還を待ちながら、いつしか日々の暮らしに追われていく。
 鳥越神社の祭りが近づいたある日、店の前を夫に似た謎めいた男を目撃する。動揺する綾子だが、あきらめていた希望の火が再び点き始める。しかし、男は過去の記憶を完全に失っていた。男を夫・東田達也と信じたい綾子は男を店に呼び、懸命に空白となった過去を甦らそうとするが……。
2011年7月例会-1 京楽座『しのだづま考』 作・演出/ふじたあさや 出演/中西和久

7月13日(水)7時
  14日(木)1時30分

アートピアホール(名古屋市青少年文化センター)
栄・ナディアパーク内

 狩りで追われた狐を助けた為に、命を狙われることになった保名は、森でさ迷ううちに、葛の葉と名乗る美しい娘に助けられます。やがて二人は愛し合うようになり、子どもをさずかって幸せな生活を営んでいました。しかし、この葛の葉こそ保名に助けられた狐の化身だったのです。
 ある日、庭に咲き乱れる菊の花に心奪われた葛の葉は、つい人間に化けていることを忘れてしまい真の姿をわが子童子丸に見られてしまいます。悲嘆にくれた女狐はやがて深い森の中に帰っていくのでした。
 数年後、保名は成長したわが子清明(童子丸)と共に都へのぼります。葛の葉から授かった超能力で帝の病を治した清明は、数々の奇跡をおこし、後に天文博士と召されその栄華・栄光は末代まで栄えることになります。しかし……。

 古典芸能と現代演劇との融合・再構成を試み、現代の視点に立った創造性が、国内外で高い評価を得てきた説経節シリーズは、もはやひとつのジャンルであると定評いただくまで完成度の高い作品となりました。説経節は、中世末の民衆が生み出した語り物で、町の辻や寺社の境内で、ささらを摺りながら語られた放浪芸だといわれています。瞽女唄や歌舞伎、人形浄瑠璃または浪花節や河内音頭など、数々の芸能の源流となり、今また中西和久によって現代に蘇ろうとしています。心の奥深く届くささら語りと、三味線を弾きながらの説経浄瑠璃は、中世の世界へと誘い、感性をゆさぶられる満足感を得られることでしょう。
2011年7月例会-2 燐光群『だるまさんがころんだ』 作・演出/坂手洋二
出演/中山マリ 鴨川てんし 川中健次郎  猪熊恒和 大西孝洋
杉山英之 松岡洋子 樋尾麻衣子 安仁屋美峰 西川大輔
鈴木陽介 武山尚史 橋本浩明 桐畑理佳 横山展子

酒向 芳 南谷朝子 さとうこうじ 小山萌子 小林あや
BENJAMIN BEARDSLEY

8月29日(月)6時30分
  31日(水)1時30分 31日のみ満席になりました

アートピアホール(名古屋市青少年文化センター)
栄・ナディアパーク内

「イラク戦争の現実に拮抗する日本唯一の演劇表現」として高い評価を得た作品。
派兵先の戦場で地雷原を歩き続ける自衛官コンビ、
地雷入手の命令を親分から受け地雷を探す旅にでるヤクザ、
地雷撤去に憧れを抱く女性の「冒険」、
地雷製造会社で働く父親と家族の日常、
増え続ける地雷のために村を追われた難民の物語……。
「地雷」をめぐる様々な物語が交錯する。
いま、名前や形を変え世界中に存在する子供達の遊び
「だるまさんがころんだ」が、
戦場の現実を堪え忍ぶ人々の祈りとして再生する……。。

第12回 読売演劇大賞選考委員特別賞 第8回 鶴屋南北戯曲賞
第4回 朝日舞台芸術賞 舞台芸術賞 第12回 読売演劇大賞優秀演出家賞 受賞作
2011年9月例会 ミュージカルカンパニーイッツ・フォーリーズ天切り松『天切り松-人情闇がたり』 原作/浅田次郎(集英社刊) 脚本/水谷龍二
作曲/吉田さとる 演出/鵜山仁
出演/左とん平、井上一馬、茂木沙月、津田英佑、金村瞳、水野龍司、井上文彦、勝部祐子、池田貴宏、肱黒尚子、池田和、西垣陽子、吉田雄、ほか

9月8日(木)6時30分
   9日(金)1時30分・6時30分
中京大学文化市民会館プルニエホール(名古屋市民会館中ホール)

 ミュージカルカンパニー・イッツフォーリーズは、“日本人による創作ミュージカルを!”この言葉を三十余年にわたって実践し日本の創作ミュージカルの歴史を作ってきた、いずみたく(1992年没)の熱い情熱を受け継ぎ、新たな日本の創作ミュージカル作品の制作・上演活動を推し進めています。
 ミュージカル『天切り松-人情闇がたり-』は、華やかな大正ロマンの陰で時代の大きなうねりに翻弄される庶民に味方する、義理と人情に命を賭けた怪盗たちの胸のすく大活躍を描く、浅田次郎のすばらしい感動の傑作シリーズをミュージカル化しました。
 浅田次郎原作、水谷龍二脚本、鵜山仁演出、左とん平主演、更に作曲には若手の作曲・編曲家で日本のミュージカル界で大きな存在になりつつある吉田さとるを起用し、まったく新しいイッツフォーリーズをイメージして頂けるような陣容で制作しています。
 正義とは・・・人の道とは・・・この現代に、庶民の目線で鋭く問いかけるイッツフォーリーズならではの“日本の創作ミュージカル”です。

 時は現代……。とある警察の留置場で、職人のような身なりの老人・松蔵は六尺四方にしか聞こえないという野盗の声音“闇がたり”で若者らに遥かな昔話を語り始める…  大正ロマン華やかなりし頃、帝都に名を馳せた義賊「目細の安吉一家」に引き取られた少年時代の“まつ蔵”盗られて困らぬ天下のお宝だけを狙い、貧しい人々には救いの手をさしのべる、誇りと信義に命を賭けた怪盗たちの胸のすく縦横無尽の大活躍を語って聞かせる。
 何もかもが変わって行く大正時代。江戸時代の名残ともいえる義理と人情、誇りと信義に命を賭けて生きる怪盗たちの物語を四話のオムニバスで綴る感動のミュージカルです。
2011年11月例会 劇団青年座『妻と社長と九ちゃん』 作/鈴木聡 演出/宮田慶子
出演/岩崎ひろし、増子倭文江、山野史人、横堀悦夫、椿真由美、加門良、松熊つる松、尾身美詞、山口晃、田中耕二、高松潤、長克巳、小豆畑雅一、須田祐介、豊田茂、小暮智美、黒崎照

11月21日(月)6時30分
   22日(火)1時30分・6時30分
中京大学文化市民会館プルニエホール(名古屋市民会館中ホール)

 昭和の老舗企業・昭和文具。社長の春日浩太郎は頑固一徹だが憎めない昭和の男。その妻、ホステス上がりの後妻・佐和子は、男を手の平で遊ばせるような器量の大きな昭和の妻。そして団塊世代を象徴するような男、通称九ちゃん、森島三郎。他の社員からは疎んじられているが、なぜか社長と佐和子とは馬が合う。ここには社長を中心にあたたかい家族主義によって結ばれた人びとの輪があった。時は昭和から平成に移った。取締役の息子・昭一は昭和文具の合理化を強引に進める。だが社長は頑として譲らない。そんな折、社長浩太郎が突如亡くなる。通夜の夜、社員と家族の思惑が渦巻き、一挙に揺れ動く昭和文具。その時、佐和子と九ちゃんの思いが溢れだす。

 サラリーマンをしながらサラリーマン新劇「喇叭屋」(現ラッパ屋)を主宰し、脚本・演出を担当して大人の芝居をつくり続けて来た鈴木聡さんと演出家・宮田慶子は、戦後日本を支えてきた人たちへの応援歌のような芝居をつくろうと『妻と社長と九ちゃん』を立ち上げました。古臭い昭和的な会社と人間の絆。そして、それを断ち切り新しい時代に生き残ろうとする人々と、断ち切れずに踏みとどまろうとする人々。どちらにも言い分があり、どちらも少し意地を張っているようなところがある。そんなリアルな今を描いた“九ちゃん”は笑って、泣けて、また笑って、最後には心があらわれる芝居です。