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2005年に上演した作品

2005年1月例会 劇団俳優座公演 ロマンティック・ミュージカル・コメディー『十二夜』 作/ウィリアム・シェイクスピア 訳/三神勲
上演台本/佐竹修、上田亨 演出/佐竹修
出演/若尾哲平、堀越大史、田野聖子、内田夕夜、河内浩、須田真魚、西川竜太郎、田中美央、志村史人、谷部央年、脇田康弘、坪井木の実、佐藤あかり、生原麻友美、佐藤佑馬。

名古屋市民会館中ホ-ル
1月18日(火)6時30分 19日(水)1時30分・6時30分
 Romantic Musical Comedyのサブタイトルどおりに歌と生バンドの演奏で贈る躍動感溢れる舞台です。かつての『お気に召すまま』のように舞台を縦横に使いスピード感溢れる緊張感と笑いに彩られた2時間の舞台です。
 十二夜とはクリスマスから数えて12日目の夜の祝祭のことで、この芝居も1601年1月6日、「十二夜」の日に初演したという説があります。この作品はシェイクスピアのロマンティックコメディの頂点にある作品といわれていますがこの時期には「ハムレット」「オセロー」「リア王」「マクベス」が書かれており、双子の兄妹という間違いの喜劇を軸としながらより深い人生の悲哀をも感じさせてくれる味わい深い作品になっています。
 イリリアの侯爵オーシーノーは伯爵家のオリヴィアに求婚していたがなかなか良い返事をもらえずにいた。船旅の途中、嵐に遭遇した双子の兄妹セバスチャンとヴァイオラは離ればなれになるが、イリリアの浜に流れ着いたヴァイオラは男装をし、若者シザーリオとしてオーシーノー侯爵に仕えることになる。オーシーノーの使いとして訪れたシザーリオ(ヴァイオラ)にオリヴィアは惚れてしまうが、オーシーノーにほのかな気持ちを抱いているヴァイオラは心中複雑……
 取り違えによって起きた騒動が、セバスチャンとヴァイオラの再会によって、パズルを解くように解決していく。
2005年3月例会 こまつ座公演 『國語元年』 作/井上ひさし 演出/栗山民也
出演/佐藤B作、土居裕子、沖恂一郎、剣幸、田根楽子、岡寛恵、後藤浩明、角間進、植本潤、野々村のん、たかお鷹、山本龍二。
名古屋市民会館中ホ-ル
3月24日(木)6時30分 25日(金)1時30分・6時30分
 明治七年(1874年)、文部官士の南郷清之輔に「全国の話し言葉を制定せよ」という命令が下った。東西の話し言葉がテンデンバラバラ、これでは統一された国家とはいえない、さっそく一つにまとめよという大号令がかかったのだ。
 この日から、南郷家は、お国訛りをめぐって、大騒ぎになる。なにしろ、清之輔は、長洲出身、妻は薩摩の生まれ、そして妻の父は誇り高き薩摩の隼人健児。そこへもってきて、三人の女中たちは、江戸山の手言葉、下町のべらんめえ、羽前米沢のズーズー弁。おまけに車夫は遠野弁、そして書生は名古屋弁。さらにそこへ、威勢のいいお女郎さんが河内弁で怒鳴り込み、あつかましいお公家さんが京言葉で居候を決め込む。
 清之輔は、話し言葉の全国統一を成功させる前に、まず我が家のお国訛りによる大混乱を解決しなければならなくなるが、話はさらにもつれにもつれる。なんと強盗に落ちぶれ果てた会津の士族が押し込んできたのだ。
 その中で清之輔は試行錯誤苦心惨憺、ついに「文明開化語」の開発に成功する。しかし、その案を持って文部省に登庁したが、すでに、清之助の机はなくなっていた…。
2005年5月例会 地人会公演 『浅草・花岡写真館』 作/山田太一 演出/木村光一
出演/竹下景子、木場勝己、田中壮太郎、佐古真弓、鈴木慎平、鈴木健介、上田裕之、大原やまと。
名古屋市民会館中ホ-ル
5月18日(水)6時30分 19日(木)1時30分・6時30分

 花岡写真館は明治から平成まで続いて、現在は四代目になる主人・花岡昌志(木場勝己)と妻・友美(竹下景子)とともに細々と店を守っている。昔と違って誰でも手軽にカメラを使える現代、一日のお客は減る一方だ。
 ある初夏の夕暮れ、二人の若い男女が写真を撮って欲しいとやって来る。久々のお客に花岡夫妻は閉店時間にもかかわらず、撮影の支度をはじめる。そしてのぞいたファインダーから見えたものは、死を覚悟した二人の姿だった。二人に続いてあらわれた老人もまた同じ。なんという夜。
 シャッターを押してこの店からこのままだしてしまったら、この三人は確実に死ぬ。
 なぜか、彼らの心の中がわかってしまった昌志は、友美とともにこの店に代々伝わるある話をはじめる。江戸が明治に変わり、侍が髷を切り、刀を取り上げられる時代にカメラの前に座った侍の話。太平洋戦争の最中、南方に出兵していた兵士が、東京に残した家族と一日だけ会えた夜のカメラの前でのこと。
 同じようにこの人々も死を覚悟しての写真撮影だったのだ。その話を聞いて彼らは、何を感じどう行動するか……。
2005年7月例会 劇団1980『素劇・あゝ東京行進曲』 原作/結城亮一 脚色/藤田傳東京行進曲チラシ
演出/関矢幸雄
出演/柴田義之、里村孝雄、加瀬愼一、水口助弘、山本隆世、澤村壱番、翁長諭、上原弘之、八代定治、綾川新、小出康統、木之村達也、則松徹、澤純子、上野裕子、室井美可、水井ちあき、山田ひとみ。
7月14日(木)6時45分 15日(金)1時30分・6時30分 名古屋市民会館中ホール

 素劇の“素”とは、素うどんの“素”。一切の装飾を廃して、うどんと汁の味だけで勝負する素朴な食べ物。天ぷらもアゲも、時には刻みねぎさえも入らず、みんなが素朴に一つの方向を向いて作った劇団発の芝居。永六輔さん曰く「日本の新しいミュージカルの夜明け」と。
 歌は世につれ世は歌につれ。会員さんの大多数を占める昭和世代が、佐藤千夜子という歌姫の生涯を通して、波瀾万丈の昭和を、(ハチマル合奏団の口三味線、チャカチャン節に合わせて)思い出の歌を口ずさみながら振り返り、笑い、怒り、涙する。そんな一夜をハチマルと共にしませんか。

 日本レコード歌謡の草創期ともいうべき昭和の初頭。「波浮の港」「東京行進曲」「唐人お吉の歌」など、数々の大ヒットで一世を風靡した歌姫・佐藤千夜子。  明治44年、母親に「通弁士になる」と約束しながら、14歳で山形県天童から上京した一人の少女が、一躍“新民謡(現在の歌謡曲)の女王”の座にまで昇りつめ、そして流行歌手としての絶頂期に、オペラ歌手への転身を決意し単身イタリアへ渡航。しかし、4年後に帰国した彼女を待っていたのは、その歌声を望む声ではなく、戦争への道をひた走る軍国日本であった。そして戦時中は慰問団の一人として戦線を巡り、後年は転々と職を換えながら売り食い生活を送ることになる。そして、昭和43年の暮れ、生活保護の身でひっそりと病死。
 急激に移ろっていった昭和という時代と、その中を奔放に生き抜いた佐藤千夜子という一人の女性の生き様を一気に描いた物語。
2005年9月例会 ドライビング・ミス・デイジーチラシ劇団民藝+無名塾『ドライビング・ミス・デイジー』 作/アルフレッド・ウーリー
訳・演出/丹野郁弓
出演/仲代達矢、奈良岡朋子、長森雅人、千葉茂則。
9月28日(水)6時45分(開演時刻が変わりました)
 29日(木)6時30分 30日(金)1時30分
名古屋市民会館中ホール

 この作品はニューヨークのオフブロードウェイで初演、モーガン・フリーマンとジェシカ・タンディ主演で映画化されています。
 デイジー(奈良岡朋子)とホーク(仲代達矢)は、それぞれユダヤ人と黒人という二つの少数民族に属しています。人種のみならず、二人は富裕層と貧困層という別な社会的階級に属してもいて、二人ともそれぞれの立場において非常に誇り高い人物として描かれています。この作品は、そうした二人の老人が自分たちの立場と威厳を保ちつつ、友情を築いていくに至るまでの物語です。キング牧師の活躍などによってもたらされる社会的変化や、老いによってもたらされる肉体的・精神的変化にも、変わることなく淡々と続いていく二人の友情は、しみじみとした暖かさで劇空間を包みこんでいきます。

 時は1948年から1973 年までの25年間。場所はまだまだ黒人差別意識が色濃く残るアメリカ、ジョージア州のアトランタ。
 裕福なユダヤ人の未亡人、72歳になるデイジーはいまだにカクシャクとしていて一人暮らしを続けているが、年のせいか車の運転が不得手になってきたようで事故を起こしてしまいます。心配した息子ブーリーは黒人嫌いの母親をやっとこさ説得してホークを運転手として雇い入れます。
 独立心の強いデイジーと黒人のホークの仲はなかなかうまくいきません。最初はぎくしゃくしていた二人。しかし、ホークが文盲であることを知ったデイジーは、元教師の経歴を活かしてホークに文字を教え始めました。やがて二人の間には奇妙な友情が芽生えていくのでした。
2005年10月例会 加藤健一事務所25周年記念公演 モノローグドラマ『審判』 作/バリー・コリンズ 訳/青井陽治
演出/星 充 出演/加藤健一
10月16日(日)3時30分・17日(月)6時30分・19日(水)6時30分・20日(木)1時30分
アートピアホール(名古屋市青少年文化センター)

加藤健一事務所サイト内『審判』解説

 一人の男が証言台に立っている。 軍事法廷で裁かれるロシア軍陸軍大尉アンドレイ・ヴァホフだ。陪審員席に向かい「審判」を問う彼は、休みなく延々と喋り続ける。それは自分の罪を軽くするための証言なのか、いや彼は自らを有罪と断定している。一体何が起こったのか、戦時下で彼が体験したおぞましい60日間の全容が明らかにされようとしている。

 第二次世界大戦中、南ポーランド、カトワイス国境の聖ピョートル・ラビノヴィッチ修道院において、ドイツ軍に囚われ捕虜となったロシア人将校七人、彼らは全ての衣服を剥ぎ取られ、修道院の地下室に閉じこめられたまま置き去りにされた。水も食糧も与えられず、助けを呼ぶ手立てもいっさいない。鉄格子つきの高い小窓から現れる太陽で、時を知ることができるだけだ。
 救出を待つしかないのか…。来る日も来る日も、この気狂いじみた状況と戦い続けなければならない。そしてこの戦いに予定された終わりはないのだ。  監禁から60日目。攻め戻してきたきた若い中尉が彼らを発見した。生存者は二人。ルービンとヴァホフ。ルービンは完全に発狂していたが、ヴァホフは奇跡的にも正気であった。
 この出来事に関する証拠は、今やヴァホフの言葉以外に何もない。そこで何があったのか、彼は何をしたのか、何が彼をそうさせたのか!耳を塞ぎたくなる彼の証言。  でもあなたは、それを最後まで聞かなくてはならない。何故ならば、彼に『審判』を下すのはあなたなのだから…。

 この作品は1980年に初演。俳優・加藤健一の原点であり、まさしくライフワークというべき作品です。加藤健一はこの作品を上演するために事務所を設立し、今年25周年を迎えますが、それを記念して今回の上演になります。
2005年11月例会 劇団文化座『遠い花』 脚本/八木柊一郎 演出/鈴木完一郎
出演/佐々木愛、米山実、阿部敦子、鳴海宏明、遠藤慎子、伊藤勉、青木和宣、高村尚枝、有賀ひろみ、佐藤哲也、田村智明、浅野文代ほか
11月24日(木)6時30分 25日(金)1時30分・6時30分 名古屋市民会館中ホール

2000年上演時の記録

 ある英国軍人が愛する日本人女性に宛てて綴った実際に存在する千通もの手紙。そこから浮かびあがるのは、二十世紀の激動の歴史に翻弄され引き裂かれながらも生き続けた真実の愛、家族の絆の物語です。
 日本に憧れ、日本人女性を愛し、自ら日本人になりたかった男。アイルランド貴族であり英国軍人であった男が愛した日本とは何だったのか。彼は日本に何を見ていたのか。そしてそれはもう失われてしまったものなのか……。

 1902年、「憧れの日本」に赴任してきた英国軍人アーサー・シノットは桃花の下に佇む小川まきを見初め、ピーチ・ブロッサムと綽名する。周囲の偏見を乗り越え二人は結ばれるが、アーサーは愛するまきを日本に残し香港、ビルマ、遂には第一次世界大戦の激戦地にまで赴くことになる。
 遠く隔てられた二人。この切り離された時間と空間を埋めるようにして交わされた千通にも及ぶ手紙が二人を強く結びつけていた。しかし二つの大戦によってアーサーとまき、そして二人の間に生れた息子・清の人生は大きく狂わされていく。
 日本人となり家族とともに暮すことを願って止まなかった男。彼が思い描いたものは遠い夢だったのか。
 人と人のつながりやコミュニケーションの希薄化が顕著な現代、この『遠い花』の世界を生きる家族の姿は、慎ましやかながら鮮やかな光彩を放つことでしょう。また国家や人種、イデオロギーや宗教を超えた平和の尊さを感じてもらえるはずです。